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オウンドメディアを長続きさせる「コンテンツカレンダー」活用のススメ

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コンテンツマーケティングとは、見込み客や顧客にとって価値のあるコンテンツを提供し続けることで、興味・関心を惹き、理解してもらい、結果として売上げにつなげるマーケティング戦略のことです。

「コンテンツマーケティングが優良顧客を育む本当の理由」より
https://www.infobahn.co.jp/special/contentmarketing2013

 

コンテンツマーケティングでは、中心となるコンテンツ(メディア)とお客様との間に多くのタッチポイントがあり、その時々に合ったコミュニケーションが必要です。「興味・関心を惹く」フェーズと「売り上げにつなげる」フェーズでは求められる施策も能力も異なります。

さまざまなフェーズがあり、必要となることがありますが、今回は「見込み客や顧客にとって価値のあるコンテンツを提供し続けること」についてお話しします。

申し遅れましたが私は、インフォバーンKYOTOでコンテンツストラテジストをしている遠藤と申します。本社と比べると小所帯のインフォバーンKYOTOではマルチな能力が求められますが、私は編集職が長く、主に企業のオウンドメディア運用をサポートさせていただいています。

継続的なコンテンツ提供を行う場合はご存じのとおり、キャンペーンや単発の広告出稿よりもオウンドメディア運用の方が適します。オーディエンスに対して価値のあるコンテンツを提供できているか否かを見極めるためにも、日々のコミュニケーションやアクセス解析を行う必要があり、それが可能なのがオウンドメディアです。

オウンドメディア運用では立ち上げ時のクオリティやコスト、時間が最初の課題となりますが、立ち上げてすぐに「続けることこそ難しい」という声があがります。

  • 記事のネタが続かない
  • 時間がかかることは理解していたが、モチベーションの維持が難しい
  • メディアの存在意義に悩む

 

これらは企業のオウンドメディア担当者なら誰しも経験しうる「始めてみてから気づく“オウンドメディアあるある”」です。しかし同時にどれも確かな課題であり、オウンドメディアの継続運用のためにはひとつひとつクリアしていかねばならないものです。今回は運用時に役に立つ(実際、私が助けられています)、“ブレないオウンドメディア運用”のための「コンテンツカレンダー」活用をご紹介します。

 

運用者が常にメディアの全体像を把握するためのコンテンツカレンダー

 

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上の画像は、私が実際に使っているコンテンツカレンダーです。なんてことはない、カレンダーです。私がコンテンツカレンダーを使う目的は、“運用者が常にメディアの全体像を把握するため”。大切なのはカレンダーを埋めていくコンテンツをラベリングし、それぞれの役割を明確化して一覧化することなのですが、月単位で区切られたカレンダーに記録していくことで、メディアの過去/現在/未来の把握も簡単になります。アクセス解析と併用しながら月単位で振り返ると、メディアを継続運用するためのさまざまなヒントを得ることができます。

次に、コンテンツのラベリングについて、いくつか考えられるパターンを見ていきます。まずはコンテンツの種類を決め、分類しましょう。わかりやすいところで雑誌の「台割」に近い考え方から。

 

コンテンツの強弱を意識し、疲弊を未然に防ぐ

●ボリューム/コスト
代表的なのはボリューム順に「特集」「コラム」「トピックス」という分け方でしょうか。雑誌にあてはめると巻頭、カラーページ、白黒ページの区分に近いですね。立ち上げ初期は、企業の運用担当者にとっても “自社の資産をメディア化する”ことをイメージするのは難しく、その際に雑誌のメタファーを用いることがとても有効だったりします。コンテンツに強弱をつけることは読者を飽きさせない工夫であり、運用側の疲弊を防ぎ、ペースを保つことにもつながります。

「取材あり」「取材なし」の区別も、費用対効果をはかるうえでは欠かせません。カレンダーにプロットするとコストのかけ具合も一目瞭然です。

場合によっては「ストック」と「フロー」の概念も。Webメディアではどうしてもすぐに効果を求めがちですが、ブックマークや検索による長期的な流入を狙えるスタイルの記事もあります。関係者が狙いを共有しやすくすることも、このカレンダーの利点のひとつです。

続いては、より中身に沿ったラベリングをしていきます。メディアの方向性を戦略的にコントロールする指針になります。

 

「カテゴリ」がメディアに色を付け、「キーワード」は中間KPIに

●メディアコンセプト/オーディエンスニーズ
何かひとつのことを伝え続けるメディアもありますが、多くのメディアでは大きなテーマのもと、それらをいくつかの細かいテーマにカテゴライズしています。たとえばラーメンをレビューするメディアで考えると、「醤油」「塩」「豚骨」「味噌」「つけ麺」「まぜそば」etc……味や食べ方のバリエーションで「カテゴリ」に分けられます。

オーディエンスを嗜好で限定せずに総花的に扱う方がいいのか、どれかに特化して濃いファンを集めた方がいいのか。スタート時に方針が明確な場合もありますが、運用しながら軌道修正していくケースがほとんどです。台割を組んだら、「醤油に偏りすぎかな?」「夏だし、つけ麺推しで間違ってないでしょ!」など、カレンダーで全体像を確認しながら戦略を評価し、オウンドメディアを正しい方向に導きましょう。

コンテンツをより戦略的に配信していくための方法として、記事ごとに「キーワード」を与えることがあります。立ち上げ期のオウンドメディアは、大きな本体サイトからの流入が期待できたり、ある程度コストをかけたデリバリー先(広告出稿先)を持たない限り、安定した流入元を持ち得ません。

ソーシャルアカウントの運用などと同じく、地道に流入先を増やす施策がSEO対策です。検索エンジンは、着実にしっかり良質なコンテンツを配信するサイトを評価してくれます。メディアの方向性やサイズに合わせて適切なキーワードを設定し、月単位でバランスよく配信しながら、取りたい検索ワードをしっかり狙っていきましょう。カレンダーでプランを決め、各種CMSや解析ツールで同様のキーワードを追う。すぐに数字がついてこない立ち上げ期に、中間KPIとしてキーワードを狙っていくことは、本質的なメディアの成長と合わせて取り組むべきプランだと思います。

ではもう一度、私が使っているカレンダーを見てみましょう。

 

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こちらは同じオウンドメディアの半年後のカレンダーです。

 

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これらはある実例を基にした一例です。初期に「特集」「コラム」「トピックス」と雑誌に倣う形のWebマガジンとしてスタートしたオウンドメディアが、のちにコラム中心のスタイルに移行しています。特集の費用対効果が低く、また、読者とのコミュニケーションにおいて「フロー」の記事が求められていないと判断したためです。

一回の取材で作成する記事を増やすことで工数の最適化を狙い、A~Eと5つの分類でスタートしたカテゴリも、スタートから数か月の数値でオーディエンスのニーズを判断し、A~Cの3つに絞り込んでいます。カテゴリを絞り始めて数カ月、狙うキーワードも定まり、検索効果も出始めて地力がついてきた、といったところです。

 

オウンドメディアは試行錯誤・原点回帰の繰り返し

このように、カレンダーはその時々のオウンドメディアの全体像を明らかにしてくれます。企業の狙い、オーディエンスのニーズだけではなく、時代の要請も日々変化していくからこそ、何を求められて、何を伝えているメディアなのかを常に理解し、理解してもらう必要があります。狙いを持ったコンテンツ配信とその検証をし続けることは特に、下記にあげたポイントを実現し、導入でお話ししたオウンドメディア立ち上げ期にぶつかる課題を乗り越えるヒントになるはずです。

  • ネタ切れを回避する
  • 中間KPIの設定/計測がしやすくなる
  • メディアの方向性を確認できる

 

オウンドメディアを1年、2年と続いていけばそれだけ新たな課題に直面します。1年目にファンになり、2年目も継続して閲覧しているオーディエンスと、2年目からのオーディエンスが混在するオウンドメディアにおける記事の内容はどうすべきか? そんな課題に直面した時も、カレンダーを振り返り、現状を俯瞰することで未来のカレンダーを埋めるアイデアが出てくるはずです。

ラベリングの種類は本稿にてあげた基本的なものだけではなく、多岐に渡ります。さらにカレンダーだけに、しっかり管理していくことでPM(プロジェクトマネージメント)もバッチリです。それぞれのメディアに合わせた形でカスタマイズしてください。

基礎的な内容に終始しましたが、オウンドメディア運用は試行錯誤・原点回帰の繰り返しです。地道にやること、基礎をしっかり押さえることが成功につながります。

 

遠藤英之

Design Strategist

レコード会社A&R、週刊誌編集/記者を経て、デジタルメディア・コンテンツを通じた企業のコミュニケーション支援に従事。編集者の思考≒エディトリアル・シンキングを用い、メディアをツールとして使ったコミュニティデザイン/プロジェクトデザインの研究/実践を行う。