IA Summit 2013に参加してきますよ:京都支社長・井登のレポート~メインプログラムDay2~
おはようございます、世界! 井登です。
IA Summit 2013もメインプログラムの2日め、会場も集まる人のテンションも暖まってくる中日です。
わたし自身はプレスカンファレンスのワークショップから参加しているので(しかも初日のワークショップが最強タフだったし。。。)すっかりピークを過ぎたような気分にもなってぐったりしていますが(笑、早起きして洗濯して気持ちの曲線を持ち上げ、今日も7つのセッションに出てきました。
IA Summitでは3~4のテーマカテゴリが設定されて、そのカテゴリ毎に複数のセッショントラックが別々のルームで行われていて、今年は、「People,Place,&Things」「Growing Together」「Thnking Big」という3つのテーマカテゴリ。
そしてもうひとつ部屋が用意されていて、そこはセッションを聞いて刺激を受けたり、誰かと議論したい人たち用のディスカッションテーブルがいくつも置かれた“しゃべり場”が用意されています。
時折この“しゃべり場”を覗くと、本当にたくさんの参加者が議論に白熱をしていて、「あー、ここは本当に議論の国だなー」と実感します。
複数のセッションが同時に行わるため、自分で出席するセッションを選ばないとならないため、テーマカテゴリと、カンファレンスサイトに掲載されているセッションのアブストラクトを見て興味があるもの、仕事にフィードバックできそうだなと思うものを選んでセッション参加するんですが、意外に内容がイメトレと全然違ったりするものも多く(苦笑、そういう場合はどんどん途中でも退席して別のセッションに移ったりしてもOKです。
日本人はマジメだからついつい遠慮してしまいがちですが、せっかくの貴重な時間だから(スピーカーにとってもオーディエンスにとっても)お互い意味のある時間にするために、そして予想もしていなかった面白い発想に出会う機会を増やすためにも、遠慮せずにこういうスタイルでカンファレンスを楽しむことはいいことだな、と感じました。(わたしも2度ほど途中退席しましたが、去り際にスピーカーがニッコリと笑顔で見送ってくれました。)
最初のセッションは、「LeanUX」の著者Jeff Gothelfによる「9 Ways to Design with a Distributed Team」。
つまり、あちこちに分散している人たちとプロジェクトをうまく進めるための9つの冴えたやり方、です。
「LeanUX」はとても興味深く読んだので生でJeffを見たい、というミーハー心から聴きに行ったんですが、コラボレーションワークを成功させるための“姿勢”と“具体的にやったらいいこと”がとてもシンプルに語られていました。
姿勢として重要なキーワードは、
- COTEXT(背景)
- CULTURE(文化)
- TRUST(信頼)
の3つだとJeffは言います。
「背景」を共有し理解し合うことでお互いに共有できる「文化」が生まれることを促進し、「文化」を共有することでお互いの「信頼」が生まれる、というモデル。
このモデルを実践するための9つの方法として、ビデオチャットを積極的使うことや、オンラインの場で皆が同時に共有・作業できるスケッチブックのようなドキュメントを置くこと、Pinterestを使ってイメージボードを共有するなどのTipsを紹介してくれましたが、面白かったのは、“バーチャルハッピーアワー”という考え方。
これ、要するに関係者がたまには一緒にビデオチャットを使って“バーチャル飲み会”をやろうよ、というもの!
リラックスして語り合うことのできる“飲みニケーション”は、やはり「CONTEXT」「CULTURE」「TRUST」を強めるために効果があるんですね。そうですね、よくわかります(笑。
Jeffのセッションの後は、こっちに来て初日に参加したワークショップのオーガナイザーでもあるAndreaのセッション「Ghost in the Shell – Information Architecture in the Postdigital World」。
データが溢れ、これまでとは情報と人との関係性が大きく変化するこれからの時代に、IAがどういう思想とスピリットを持って臨むべきか?、もう目の前まで来ている新しい時代における情報設計のあり方についての方向性の提唱です。
これまでのように物理的なモノや機能を使うことでWebを使っていたいわゆる“デジタル時代”に対して、これからの来るべき時代には情報はさらにデジタル化され、人間にとってまさに水や空気のように意識しないでも常にそばにあって自由に使えるようになるこれからの時代を、Andreaはモダンとポストモダンのメタファーになぞらえて、“ポストデジタル時代”と表現しました。
そして、身体や物質がどんどん擬似化してって、脳みそとネットが直接つながっちゃうような世界を、まさにタイトルにあるように我が国が誇るアニメ作品、はい賢明な皆さんならもうお分かりですね、そうです! あの「攻殻機動隊」の世界を引き合いに出すことで語ってくれました。
あぁ、なんてフューチャー! 未来そこまで来てる! フューチャー・イズ・IA!
ふぅ。。。
Andreaの刺激的なセッションを聞いた興奮冷めやらぬ中、次に聴講したのはNir Eyalの「Hooked」というセッション。
Nirは心理学やテクノロジーの背景を持つ教育家・コンサルタントで、スタンフォードなどの大学でもマーケティングの教鞭をとりながら、自身でもビジネスを行う実業家でもあります。
こちらの才人は、ビジネスとアカデミックの二つのボーダーをスイスイと行き来している人が多いことに、本当に関心しますね。
Nirが提唱する「The Hook」という考え方は意訳するならば「ハマる!」みたいな感じかなー、と井登は理解しました。
「The Hook」とは、良いサービスを設計するためには、ユーザーにとって「ハマってもらえる」必要があって、それはユーザーにとってついついやってしまう“クセ”を引き起こさせるパターンをどうデザインできるか?ということなんだよ、という考え方のモデル。
最近巷でよく耳にするようになった“ゲーミフィケーション”とも少し似ていますね。
この「The Hook」は、Webやオフラインでのインタラクションの設計や、サービス的な発想でサイトやコンテンツを考えるうえですごく使えそうなので、引き続き学んでみたいと思います。
しばらくはフック、フック、言ってやろうと思いますw。
その他のセッションは例によってふんわりと割愛しますが、どのセッションも気づきに富んだ素晴らしいものばかりでした。ほんとにレベル高い。
2日め最後のイブニングキーノートが終わっても、皆解散しておしまい、なんてならないのが海外のカンファレンスの楽しいところでもあります。
セッション終了後、まずはわたしたちのように今回始めてIA Summitに参加する参加者のために“First Timer’s Dinner”というイベントが用意されています。
何人かのベテラン参加者がオーガナイザーとなって、わたしたち初参加者たちを食事に連れていってくれる、という趣向。8つくらいの班に分かれてバラバラに行動しますが、ラッキーな1つの班にはなんとボルティモア・オリオールズのメジャーゲームの観戦付きなんていうサプライズもあって大盛り上がり!
わたしの班はホテル近くのアイリッシュパブでビールを飲みながら、お互いの背景や専門領域、今回参加した理由などについて和気あいあいと話せてよかったです。
初めて参加するカンファレンスでは知り合いがいないことも多いし、こういう気遣いはとてもありがたいですね。
そしてホテルに帰ると、夕方までカンファレンス会場だったはずのフロアは、ゲーム大会とカラオケ大会の会場に大変身!!!
立場やステータスを超えて、熱狂の空気の中カードゲームやカラオケに興じる一体感は、ただ「スゴイ・・・」の一言(笑。
学ぶことと楽しむことの両方に超本気のオトナのカンファレンス、って感じでいいですね~。(よく見るとAndreaがカラオケステージで、「監獄ロック」を熱唱してました。笑)
さて、明日はついに最終日。
最後の最後までIA Sumitの全てを吸収すべく、おそらく朝まで続く勢いのカラオケ会場をあとにしました。
おやすみなさいませ。
ボルティモアより愛をこめて
井登友一
【メインプログラムDay1 その2】
https://www.infobahn.co.jp/news/2255
【メインプログラムDay1 その1】
https://www.infobahn.co.jp/news/2242
【カンファレンス初日 その2】
https://www.infobahn.co.jp/news/2232
【カンファレンス初日 その1】
https://www.infobahn.co.jp/news/2226
【前日】
https://www.infobahn.co.jp/news/2196