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三方良し? ブランド、メディア、ユーザーを守るネイティブアドの可能性 ——モバイル&ソーシャルWEEK2014レポート

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こんにちは。コンテンツ開発ユニットの菅原悠です。

2014年7月25日(金)、六本木アカデミーヒルズで開催された「モバイル&ソーシャルWEEK 2014」。その中のトークセッション、「ネイティブ広告最前線~コンテンツを広告にする新たなプラットフォーム~」にインフォバーンCEO・今田素子が登壇しました。

高広伯彦さん(マーケティングエンジン代表取締役)をモデレーターに、嶋瀬宏さん(アウトブレイン代表取締役)、菱沼大輔さん(株式会社リコー)、今田のトークセッションを中心に、ネイティブアドについて、3者それぞれの視点をレポートします。

 
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上段左 高広伯彦さん(マーケティングエンジン代表取締役)
上段右 今田素子(インフォバーン、および、メディアジーンCEO)
下段左 菱沼大輔さん(株式会社リコー)
下段右 嶋瀬宏さん (アウトブレインジャパン代表取締役)

   

まずモデレーターの高広さんより、ネイティブアドを活用したことによってどのような変化が起きたのかという質問が投げかけられました。

これに対して、広告主側からの視点として、菱沼さんは次のようにコメント。

菱沼(以下、敬称略):リコーはもともと事務器メーカーなので、コンテンツ消費層としてはWindowsユーザーが多かったんです。ところが、ネイティブアドを活用したことで、Macユーザーの閲覧が増えるなど、これまでとは全然違うユーザー層にリーチできました。

メディア側の変化として今田は、次のように変化を語りました。

今田:広告枠の中で、どういうものを掲載するかなど、広告審査がすごく重要となってきていると考えています。これまでも審査自体はあったのですが、ネットワーク広告を入れたらメディア側はどんな広告が配信されるかわからなかったり、リターゲティング広告を使って、見ている人に不快感を与えることもあったりと、必ずしもユーザーにとって最適な広告を出しているとは言えなかった。一方で、ネイティブアドは、自分たちの大切な媒体の記事の中に広告を差し込んでいくので、メディアを大事に守ろうという傾向があります。

最後に、その広告審査の重要性に関して、レコメンドエンジンを企業に提供し、広告配信側に立つ嶋瀬さんは、次のように語ります。

嶋瀬(以下、敬称略): 2012年の10月に広告審査をより厳しくし、コンテンツを浄化させていったことで、RPM(インプレッション収益)がどんどん上がっていき、結果的にその1年間の収益は過去3年間でもっとも良い結果となりました。短期的な収益より、ユーザーとの信頼関係が大切だと確信しましたね。

   

ネイティブアドと「三方良し」という考え方

次に、「実際にネイティブアドを活用するにあたって、メディア側、広告主側、広告配信側がそれぞれ気をつけていることは何か」という質問が高広さんより投げかけられました。

それについて今田は以下、2つの注意点をあげました。

今田: 大前提として、ブランドもメディアもユーザーもうれしいというのが重要だと思います。それを踏まえて注意すべきことは、絶対にステマをしないこと。そして、メディアとしてユーザーにどのような情報を提供するかということです。ネイティブな枠を使うわけなので、とにかくユーザーを裏切らないように心がけています。たとえば、記事の内容についても、普通の記事より4倍おもしろくしようとするとか。そういうことに気をつけていると、PRという表記が入った記事でもどんどんランキングが上がっていきます。

一方で、菱沼さんは広告主側ならではの視点で、次のように語っています。

菱沼:ネイティブアドを使用した広告コンテンツに対して、社内で「うちのトーンやマナーから考えるとどうなんだろう?」と言われることもあります。コンテンツがおもしろくて、読んでもらえれば成功につながるのに、広告主側から注文を出し過ぎるとそれが半減しかねない。そこは戦っていかないといけないですね。

嶋瀬さんはアウトブレインジャパンの生命線はユーザーの新規クリック率だと前置きした上で、次のように述べました。

嶋瀬:各メディアにとって「アウトブレインなら安心だ」とか、ユーザーにとっても、「この枠ならクリックしても安全だ」と思っていただけるか。それが何よりも大切だと考えています。そのために、広告審査に力を入れて、より良いコンテンツを提供することが重要だと思います。

   

KPI? クロージング? マインドセット? ネイティブアドの課題は何か

 
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セッション終了後には参加者の質問をもとに議論が盛り上がりました

本セッション最後の議題は「ネイティブアドの今後の課題」について。それぞれの視点でネイティブアドの課題を語っていただきました。

今田:課題はKPIの設定ですね。いままではどんなに記事がバズっても、それがどうブランドに貢献したかなど、明確な計測方法がありませんでした。現在では、リーチ、ブランドリフト(広告コンテンツにふれて、そのブランドに好感をもったかどうか)、購買への貢献度という独自の指標で効果を計っています。

菱沼:ネイティブアドは、これまでリーチできなかったところにコンテンツの力でリーチしていけるというメリットがあります。その一方で、BtoBビジネスの場合、リーチしたリード(見込み客)を実際に顧客化していく必要があるのですが、そこをどのようにすれば良いのか、という課題があると思います。

最後に高広さん自身の見解として、ネイティブアドの課題について次のように述べ、本セッションは終了しました。

高広:メディア側と広告代理店側の、マインドセットの変更が大切だと思います。ネイティブアドはこれまでのオンライン広告とは違い、2~3年のスパンでメディアを育てる、広告枠を育てる、ユーザーを育てるというもの。業界の中の、重要な長期的なエコシステムのようなものをつくっている。その先駆的なモデルが、ネイティブアドだと思います。

   

ネイティブアドについて、そもそもの理解度やKPIの設定の問題、出稿の際に必要な社内調整など、多くの課題が残っているのは事実です。一方で、メディア側、広告主側、広告配信側のそれぞれにおいて、実際に起きたポジティブな変化を知ることができ、ネイティブアドの可能性を強く感じたセッションとなりました。

菅原悠

2014年3月入社。コンテンツディレクターとして日々勉強中。前職での経験から、社内で1番速く服をたためるという自負がある。所属するインフォバーンフットサル部”円山町UNITED”は対戦相手を募集中です!