ネイティブアドをもっと活用していくには何が必要か? 〜アドバタイジングウィーク in N.Y.レポート②〜
こんにちは。コンテンツ開発ユニットの菅原です。
前回に引き続き、今回もアメリカ・ニューヨークで開催された、「アドバタイジングウィーク」のセッションをレポートします。ご紹介するのは「ネイティブアド時代のエージェンシーの役割」と題されたもの。新しい広告フォーマットを介した取り組みは、エージェンシーだけではなく、パブリッシャーやブランド側へ求められる役割にも変化を起こしています。そんななか、エージェンシーが取り組むべきものは何か、アツい議論が交わされました。
モデレーターは、インフィード型広告の最大手「Sharethrough」社長のパトリック・キーン氏(写真左端)。パネリストは、世界最大手のメディアエージェンシー「MEC」のギアン・ラベッキア氏(写真左から2番目)、最大手のPR会社「Edelman」のペイドメディアグローバルディレクター、クリス・ポール氏(写真右から2番目)、デジタルエージェンシー「DigitasLBi」のシニアバイスプレジデント、ジョン・マッカラス氏(写真右端)です。
最初は誰もがどう活用し、何をすれば良いのか分からない
モデレーターであるキーン氏が、次のように切り出します。
「ネイティブアドをもっと活用していくには何が必要か」
これに対し、デジタルエージェンシーの立場からマッカラス氏は、Appleの広告プラットフォーム「iAd(アイ・アド)」が登場した時のことを例に挙げ、回答していました。
「新しいプラットフォームや、フォーマットが登場すると、最初は誰もがどうやって利用すればよいのか、何をつくるべきなのか分からない。それに対してAppleは自ら活用方法を示して、誰もが活用できる環境を築き上げた。ネイティブアドもiAdと同じで、どのようなコンテンツがオーディエンスの心をつかむことができ、うまくディストリビューションできるのか、その可能性や活用法をもっと示していく必要がある」
マッカラス氏の主張に付け加える形で、PR会社のポール氏は、
「エージェンシー、パブリッシャー、そしてブランド、それぞれがネイティブアドなど新しいものを受け入れる準備がもっと必要だと感じている。最近では、三者ともに従来とは異なったアプローチを柔軟に受け入れて進めたプロジェクトが成功する傾向にある」
と述べた上で、「ネイティブアドの実行には明確な編集方針が必要になる。軸のぶれない編集方針をもったエージェンシーの存在が、その取り組みを助けるはず」と、これからエージェンシーが求められる役割について語りました。
組織としてこれまでとは異なったスキルや役割が求められているというポール氏の主張に同意したマッカラス氏は、次のような自社の取り組みを紹介しました。
「週に一度、バイラルメディアのBuzzFeed(バズフィード)のチームを招き、彼らのノウハウを教えてもらっている。新しい手法をいち早く吸収することによって、組織としての成長も期待できる」
このようにエージェンシーがパブリッシャーと協力することで、「どのようなネイティブアドがそのプラットフォーム上でうまく機能するのかなど、最新の動向を知ることができ、エージェンシー側の編集方針のブラッシュアップにつなげられる」と、マッカラス氏は紹介していました。
ネイティブアドのモデルケースはつくれるか
iAdの場合はAppleが開発したものであり、その活用方法の軸がぶれませんでした。一方で、ネイティブアドの場合は、それぞれのメディアや、その広告枠、オーディエンスの属性、編集方針によってコンテンツなどが変わってくるため、ロールモデルができにくいと思われます。しかし、ポール氏が語ったように、エージェンシーが「明確な編集方針」を持ち、パブリッシャーやブランドと協力して取り組むことができれば、各メディア内での、ベストプラクティスを構築できるのではないでしょうか。
2本に分けてお届けした「アドバタイジングウィーク」レポート。「オーディエンスの心をつかむコンテンツ制作」だけでなく、「ディストリビューションのモデルケースを構築する重要性」や「膨大な量の情報が飛び交うなかで武器になるのが、メディアとしての『信頼性』であるということ」を学びました。今後も継続して海外のトレンドを追いかけ、機会があればこのような場で共有していければと考えています。
〜アドバタイジングウィーク in N.Y.レポート〜その①はこちら