ブランデッド・コンテンツと新たなマーケティング手法 ──「iMedia Media Summit 2015」セッションレポート
5月11日から2日間にわたって、日経ホールで開催された「iMedia Media Summit 2015」。
今回は、2日目に「ブランデッド・コンテンツと新たなマーケティング手法」と題して行われたセッションをレポートします。
今回のセッションでは、モデレーターを弊社代表取締役 CEO・ 今田素子(写真 左から1番目)が務め、スピーカーには花王デジタルマーケティングセンター長 石井龍夫氏(写真 左から2番目)、三越伊勢丹WEB事業部営業計画担当長 古川順教氏(写真 左から3番目)、ハースト婦人画報社代表取締役社長 イヴ・ブゴン氏(写真 左から4番目)、日本経済新聞社デジタルビジネス局部長 上條裕幸氏(写真 左から5番目)、の計5名が登壇しました。
2015年はデジタルの「ブランド広告」への期待が高まっていく
セッションは、まず今田による現在の日本のデジタルコンテンツ市場に関するブリーフィングでスタート。
2015年は日本でも本格的にデジタルブランディングに取り組むブランド企業が増えており、オウンドメディア活用やそれに伴うデータ連携などがマーケティング戦略の主軸になると言われています。米国では既にデジタル領域におけるブランド広告費がダイレクト広告費を上回っていることや、日米問わずネイティブ広告への予算が大幅に上昇していることなどから、その期待値の高さがうかがえます。
次に、各スピーカーへの質問へと進んでいきます。このコーナーでは、今田からの5つの質問に対し、各登壇者が回答していきました。今回は、そのうちの一つを抜粋してご紹介します。
ブランドがメディアに期待することは?
石井:オウンドメディアを運用することで、自社に集まってくる顧客に関するデータを活用できるようになるのではないか、という点に期待している。これまでのテレビ広告では「顧客にどれくらいCMを見られたか?」や「どれくらい態度変容を起こしたか?」ということはわからない。その点でも、オウンドメディアを運用していると、「実際にどんな人が、どのくらい反応してくれたか?」や「どんなキーワードで反応してくれたか?」という細かいことが分かるようになる。
古川:デジタル領域では、お客様の興味関心に沿ったコンテンツを直接届けることができる。コンテンツの流通を、メディアを通じて行うことで、これまでになかったようなビジネス領域の拡大や、お客様との接点を拡大したい。
また、先日公開した三越伊勢丹の新メディアFOODIEの『グラスの中で旅をする。初夏におすすめしたい世界の白ワイン8本』という記事は、予想以上に読者からの反響が大きく、
イヴ:現在の、ブランド企業のメディア化の波には非常に勢いを感じている。また、メディアを運営していく上で、以下の3つのポイントが重要だと考えている。
1. 他媒体との差別化
自社にしか作れないコンテンツを作り、メディアとしての差別化を図る。
2.編集力
新たなテクノロジーが隆盛していくなかで、それらの基盤となる「編集力」をどれだけ高められるかが重要。
3.ビジネス上の新しい仕組みも必要
メディア企業では、既存のビジネスをこれからどのように脱皮させていくか?という共通の問題を抱えており、「競争」ではなく「共存」という形で、共に新たな仕組みを創りあげていく必要があるのではないか。
上条:現在は、B2Bのタイアップ広告の制作を行うことが多いが、「バナーを掲載して終わり」というレベルではなく、より深い次元でお客様の問題を共有し、共通のゴールへ共に向かっていくということを心がけている。
また、花王・石井さんや伊勢丹・古川さんが行っているような、きちんと”機能”する優良なコンテンツづくりというのは簡単にできるものではないと思う。我々は、メディアの中でそのことを意識しながらしっかりとブランディングに繋げていきたい。
今後のデジタル戦略に注目
今回のセッションでは、期待が高まるデジタル領域でのブランデッド・コンテンツと新たなマーケティング手法というテーマで、各メディアそれぞれが目指している目標や、抱えている課題などについての議論が繰り広げられました。
スマートデバイスのさらなる普及やコンテンツ量の増大などにより、多くの企業でデジタル活用の必要性が増しているなかで、いかにして各ブランド企業がデジタルマーケティング戦略を立て、新たな市場を切り拓いていくのか、今後の動向に注目したいです。