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【海外事例】 IT業界のBtoBビジネス、時にはBtoCのマーケティング手法も有効に?

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リモートワークやDXといったトレンドの流れに乗りますます勢いづいているのが、企業向けサービスを展開しているIT企業です。急激に需要が増えたところに、テレビCMやデジタル上の評判形成が功を奏し効果的にシェアを勝ち取っているサービスも出現していることから考えると、BtoB取引だからといって決裁者の顕在ニーズだけに的を絞るのではなく、もっと多角的に展開することも視野にいれたほうがよいかもしれません。従業員としてサービスを使う可能性もある幅広いインターネットユーザーを狙って共感を呼び起こさせるような、BtoC向けのコンテンツマーケティング手法をあえて実践している好例をご紹介いたします。

コミカルな動画で、リモートワークにおける課題の解決方法を軽やかに提案:Monday.com

movie: https://www.youtube.com/watch?v=n8QrL1WbEw4

リモートワークでも効率的にチームワーク作業を行えるということで、近年ニーズが高まっているプロジェクト管理ツール。そのなかでもイスラエル発のサービス「Monday.com」はシンプルで使いやすいUIと、豊富なテンプレートで人気を集めています。

そのMonday.comが「will it automate」というアカウントから打ち出した動画のキャンペーンが「I built a cookie machine to motivate people at monday.com. It didn’t work.」。 この動画では従業員のエンゲージメントを高めるにはどうしたらよいかと悩んだJoelが、タスクを終えたと報告した従業員にクッキーを自動で与えられるような機械の工作を始めてしまいます。ですが、設置もうまくいき、クッキーを機械から与えられた当の従業員の反応は…!?

リモートワークの環境下では企業へのエンゲージメントや、仕事に対するモチベーションを保ちにくいという、多くの人が共感する課題について、ユーモアを織り交ぜた動画で、さまざまなタスクの自動化を実行できるソフトウェアの機能についてアピールしています。6万回以上の再生数とともにコメントも多く付き、そこまで高くなかったMonday.comの認知度の向上と、新規顧客の獲得に寄与した動画施策として評価されています。

勝機を逃さない! ベストタイミングでユーザーを巻き込むコンテンツマーケティング:Zoom

twitter: https://twitter.com/zoom/status/1257347456322482182

2020年に急増したリモートワークで、かなりシェアを伸ばした企業のひとつが、日本でも普及しているオンライン会議システム「Zoom」です。

こちらのインタビューでCMOのJanineが語るところによると、

またマーケティング活動において、部門間の連携以外に重要となるのが「投資」です。当社はCEOのEricをはじめ、経営陣がマーケティング活動への投資に理解があります。特にEricはマーケティング部門の“エクステンション”だと私たちが冗談にするほど、素晴らしいアイデアを持っていて、マーケティング活動にとても理解があります。そのおかげで、空港での広告展開など、ROIが見えにくいものでも、積極的に行うことができました。

「TECHBLITZ:CMOが語る、Zoomのマーケティング戦略」 https://techblitz.com/zoom-cmo/

バーチャル背景画像を配布したり、ブログでの情報発信も含まれるその積極的なマーケティング活動のなかで、Zoomは自然な形でバーチャルバックグラウンドコンテストを開催。最もクリエイティブな背景画像に賞品を贈りました。 結果、このキャンペーンはさまざまなSNSで話題になり、このコンテストに参加したある人のツイートは500万回近く再生されてかなり話題になりました。

何か楽しめることを人々が探しているというその空気感を、知名度を上げる勝機ととらえて逃さなかったことが成功のカギとなったのでしょう。これによりZoomの基本理念である「#StayConnected」と「#MeetHappy」をうまくアピール、ブランドのロイヤルティをあげることに成功したCGM(Consumer Generated Media)活用の見本といえます。

創設者がインフルエンサーに。さまざまなプラットフォームで情報発信をしかける

「Close」のHPのスクリーンショット
Screenshot: https://close.com/

「Close」は、スタートアップや中小企業向けのCRMツールを提供しているIT企業です。営業スキルに特化したインフルエンサーに、創設者のSteli Eftiが自らなることでサービスの知名度をあげていることが特徴と言えるでしょう。小規模な企業をターゲットにすればするほど必然的にBtoCの手法が通用しやすくなりそうです。

まずはオフィシャルサイト内にあるブログをご紹介します。販売プロセス、営業チームと管理、セールスメールといった、営業職の業務に関する多くのトピックに関してさまざまな角度からブログを充実させています。月間トラフィック値で10万回以上、月間サイトビューは40,000人以上とのこと。この規模の会社としては大成功を収めています。また更新情報が届くニュースレターは、なんと購読者が20万人以上。創設者のSteli Efti発信となっているコンテンツが多いことにも注目です。

「Close」のブログのスクリーンショット
Screenshot: https://blog.close.com/sales-brief-the-big-challenge/

また、Youtubeチャンネルでも自らが登場する動画の量はかなり多く、総再生回数は200万を超えています。

「Close」のYoutubeチャンネルのスクリーンショット
Screenshot: https://www.youtube.com/c/CloseIoapp/videos

さらにはSaas企業「Nira」の創設者Hiten Shahと共に、StartupChatという独自のポッドキャストも運営。ビジネスメディア「Forbs」にも多くの記事を寄稿しています。

StartupChatのスクリーンショット
Screenshot: https://thestartupchat.com/

ありとあらゆるメディアを駆使して、創設者が企業の顔となりユーザーとの接点を作り出しているこの戦略はなかなか真似ができないものですが、創設者に対する信頼が企業理念の理解や商品の認知度向上にかなり影響を与えると思われます。コンテンツのオリジナリティも高く競合企業との差別化を測るのには最適と言えるでしょう。

急がば回れ? 知名度や関心が低いBtoBサービスほど、BtoCの手法で成果を期待できる可能性も

今回はIT業界のBtoB向けのなかから、BtoC向けのようなマーケティングを手法を実践して成果をあげている事例をご紹介しました。いずれの事例も、一般ユーザー向けにターゲットを幅広く取っているために一見非効率的に見えてしまうかもしれませんが、そのコンテンツの有用性や、生み出された共感はファンを生み出す原動力になり、ビジネスにも好影響を与えているといえるでしょう。BtoBマーケティングでターゲットとなる決裁者は、そのうちに含まれる一人だと考えられれば決して無駄にはならないはずです。この手法は競争の激しいIT業界・ITサービスで知名度や好意度を高め関心をひきつけるための、ひとつの有効な手段のなのかもしれません。インフォバーンではBtoBビジネス、BtoCビジネスのどちらであっても目的に合わせてコミュニケーションプランをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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