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Z世代に刺さるキーワード「ジェンダーフリー」と「多様性」

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1997年以降に生まれた「Z世代」は、今、企業のマーケティング活動において最も重要視されている世代といっても過言ではありません。注目すべきはその情報の拡散力の速さ・広さ・影響力。どうやったら彼らの心をつかむことができるのでしょうか? 今回は、そのZ世代に受け入れられた施策のなかから、「LGBTQ +」や「ジェンダーフリー」「多様性」をテーマにした海外コンテンツマーケティングの好例をご紹介いたします。

ジェンダーに悩む人の気持ちに寄り添う:Starbucks Coffee Company

movie: https://youtu.be/pcSP1r9eCWw

注文時に顧客の名前を聞き、商品の受け渡し時に呼び出す。そんな顧客体験の一部にフォーカスした「Starbucks Coffee Company」の「#WhatsYourName」という動画キャンペーンをご紹介します。上で紹介したショートムービーでは、出生時に与えられたJemmaという女性名に悩む人物が描かれ、最終的にstarbucksの店舗でドリンクを注文するときに、Jamesという自分を表す名前を名乗ることができる、というストーリーです。

注文時に名乗るという店舗でのささいなやりとりにでも、トランスジェンダーや多様なジェンダー観を持つ人々が、自分で選んだ名前を使うことを歓迎し、その重要性を尊重しているのです。元々このキャンペーンは、実際スターバックスで起こった出来事に触発されて始まりました。

さらにこの#WhatsYourNameキャンペーンに連なる「Moving Portraits」という動画では、LGBTQ +の人々がどのようにして新しい名前を選んだかについて語られており4名それぞれのストーリーを見ることができます。

movie: https://youtu.be/6T9r3znkr_0

またこの動画を拡散するだけにとどまらず、LGBTQ +支援団体「Mermaids」と提携、店舗での特別版マーメイドクッキーの販売を通じて、トランスジェンダーサポートサービスの資金を集めました。これにより、LGBTQ +やジェンダーの多様性を支持する会社のポリシーを訴求することに成功したと言えるでしょう。

このキャンペーンのおかげでチャリティの目標であった10万ドルが短期間で集まりました。また、この広告は世界的に広まり、「Channel 4」のDiversity in Advertising AwardやD&AD Pencil、2021年カンヌ広告祭のクリエイティブストラテジーのカテゴリーでのゴールド賞など、数々の賞を受賞することとなりました。個人のストーリーにフォーカスしたエモーショナルな動画コンテンツは、ジェンダーフリーや多様性を意識している人やZ世代に刺さる内容になっているといえるでしょう。

LGBTQ+コミュニティ支援のための特別なヴァーチャルイベント:iHeartRadio & P&G

「Can't Cancel Pride: Helping LGBTQ+ People in Need」HPのスクリーンショット
Screenshot: https://www.cantcancelpride.com/

「Can’t Cancel Pride: Helping LGBTQ+ People in Need」は、LGBTQ +コミュニティの認知度の向上とその活動資金を集めるためにライブストリーミングで開催されたバーチャルイベントです。

「iHeartRadio」と「P&G」が主催し、トランスジェンダーの女優Laverne CoxとiHeartRadioで活躍する有名なラジオパーソナリティElvis Duranがホストを務めた1時間のスペシャルイベントでは、セクシャリティのことで家族から拒絶されている人々のメンタルヘルスの問題など、LGBTQコミュニティが直面する課題を取り上げました。 P&Gで Global LGBTQ+ Equalityのシニアディレクターを務めるBrent Millerも、この活動の共同創立者として動画にも登場しており、その企業姿勢をアピールすることに成功しています。

この施策の結果として、The Trevor Project、SAGE、GLAADなどの多数のLGBTQ団体支援のために、400万ドル以上の寄付を集めることができました。動画は4.2Mの視聴を記録し、#CantCancelPrideはアメリカと他の5カ国でtwitterのトレンド入りを果たしました。

毎年6月に行われていた「PRIDE PARADE」の代替として開かれたこのイベントでは、歌手siaやKaty Perryのライブもあり、真面目なジェンダーの話はもちろん、有名歌手や俳優のエンタメコンテンツまで幅広くあることで、Z世代が自然に理解をすることができて、気軽に楽しめる内容になっていました。

声高な支持でなく、日常で自然にメッセージを伝える:e.l.f.

「e.l.f.」HPのスクリーンショット
Screenshot: https://www.elfcosmetics.com/

Z世代に人気のコスメティックブランド「e.l.f.」では、ジェンダーフリーはもはや当たり前になっていると言えるでしょう。「Your originality is our inspiration(あなたの個性が私たちのインスピレーション)」をブランドのコンセプトに、どんなニーズ、肌色、ジェンダーの人も使え、個性を際立たせるメイクを目指しています。そのため、SNS広告に登場する人のジェンダーも多様。それを声高にアピールせず、あくまで当たり前というスタンスなのも、Z世代ブランドならではです。

さらに、毎年恒例で「Beautyscape」というコンテストが開催されています。2020年は「リミックス」というテーマで音楽にインスパイアされたメイクをInstagramに投稿したり投票したりというものでした。コンテストには多くのLGBTQ +の人も参加しており、メイクアップの可能性を広げています。

instagram: https://www.instagram.com/p/CQj5GWmrTBa/

これにより、あらゆるジェンダー向けの人の商品であるというアピールはもちろん、多様性を尊重しているというブランドイメージも確立することができていると言えるでしょう。

ジェンダーの問題を真正面から取り上げるのではなく、当たり前のように自然に扱っているのが好印象です。これらの広告により、Z世代の支持が大幅に増えたとのこと。従来コンテストは、自然にユーザーを巻き込みコミュニティを作るパターンとして実施するブランドも多かったことでしょう。このジェンダーフリーをテーマに掲げることによりさらなる拡散力も期待できそうです。また、有名人を起用するのではなく、一般人を取り上げるところに、Z世代が重要視すると言われている「真実性」「信頼性」も演出できているのかもしれません。

ジェンダーフリーを意識はしても特別視しない。そのバランスが重要になってくる

今回はZ世代に受け入れられた事例の中から、「ジェンダーフリー」や「多様性」をテーマとしたものをご紹介しました。いずれの事例も、企業やブランドの真摯な姿勢が垣間見えるところが彼らに受け入れられたポイントではないでしょうか。彼らの気持ちに寄り添い、日常生活におけるブランドとの接点にメッセージを込めるところが、一過性のトレンドに便乗していると思われない秘訣かもしれません。今後は、既存のデータや、単なるデモグラフィック情報で分けられるターゲット像ではなく、多様な価値観を軸にペルソナを想定してカスタマージャーニーを描いていくことが求められるのではないでしょうか。インフォバーンでは、どのようなターゲットでもそのニーズをコミュニケーションプランをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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