デザインリサーチは「調べる」ではなく「創る」ための手段。主観的な情熱から生まれる新たな価値
2023年5月に開催され盛況を収めたRESEARCH Conference。そのスピンオフとして、翌月にRESEARCH Conference Pop up in KYOTOをRESEARCH Conference事務局とIDLの共催で執り行いました。
「不確かなものに輪郭を与えるデザインリサーチ」という副題を冠したPop upでは、近年注目を集めるResearch through Design(RtD)というデザイン手法を軸に、アカデミアの最前線や大企業で新規事業開発を担当する実践者のゲストをお招きし、理論や実践知を共有するとともに、対談を実施しました。5月の本開催に勝るとも劣らない盛り上がりを見せた様子を、本記事でレポートします。
今回のゲストの皆さん
柴田吉隆さん(日立製作所)村治泰弘さん(マネーフォワード)浅野花歩さん(パナソニック)三好賢聖さん(デザイナー、デザイン研究者)
知識、具体例、デザイナー自身がともに成長するRtD
第1部のテーマは、「Research through Designの現在地」。IDLの辻村による、今回のイベントでデザインリサーチをテーマに掲げた背景の共有から幕を開けました。
IDLでは、デザインリサーチのポイントを以下の3つで捉えています。
- 思索と試作=作りながら考える
- プロセスで生まれたデザイン知を蓄える
- モノを通して未来の可能性を探索する
アウトプットに偏重するのではなく、「考えること」と「作ること」を切り離さずに実践を続け、プロセスを価値化することがアウトプットの新規性に繋がると考えています。そして今イベントでは、デザインリサーチの中でも特に近年注目を集めている、不確かな未来への応答と対処を考える設計手法である「Research through Design(RtD)」の視点から、それぞれの企業での実践の再解釈を試みました。
とはいえ、まだまだ耳慣れない「RtD」という概念。どのようなリサーチやデザイン態度が、実践を「RtD」たらしめるのでしょうか。『動きそのもののデザイン – リサーチ・スルー・デザインによる運動共感の探究』の著者である三好さんをお迎えし、その概論をお話いただきました。