「で、どうしたら?」と途方にくれてしまった人へ
私は今、たまさかコンテンツディレクターとして仕事をしています。が、どんな業界で、どんな職種に就いていても、仕事をする上で欠かせないと考えている3大要素が「時流」「本流」「我流」です。
「時流」は言うまでもなく。「本流」は教科書的なやるべきこと、つまり基本形。「我流」はクライアント流であったり、一コンテンツディレクターとしての自分流であったり、「本流」に“らしさ”“ならでは”“新たな振り幅”などをもたらすモノ。
「本流」だけでは単なる優等生、「我流」だけでは単なるひとりよがり、「時流」にのっていなければ誰も振り向かない。これら3つの要素の共存とバランスのよさが、仕事の結果を導きだすと考えています。
本書はまさに、コンテンツマーケティングにおける「本流」。「我流」に説得力や実践力を付加するために、なくてはならない教科書です。
概念としておおよそを理解したその後は、ToDoリストやチェックリストに置き換えて、「我流」のステップにひとつひとつ組み込んだり、検証したりしながら、なおかつ、その過程において、クライアント側と制作側の双方に適切なチームをつくりあげていくことで、一目おかれるコンテンツマーケティングが展開できるようになるでしょう。
企画を考える際の4つのステップ
私自身のことで言うと、少し前に職場で、仕事をする上での座右の銘探しの機会があり、古代中国の兵書ながら人生のあり方に通ずる思想もちりばめられていることから、洋の東西を問わず愛読された『孫子』にある「戦わずして勝つ」という名言と運命の出会い!?を果たしました。
私なりの解釈は「競合ばかりをみて小さな勝ち負けを繰り返すのは、関係者を疲弊させるだけの不毛な仕事。ならではのゴールを描き、その目的を果たせるようになりたい」
元来、ものごとに勝ち負けや優劣をつけることに抵抗を感じる性分で、仕事においても“らしさ”“ならでは”“新たな振り幅”を無意識ながら意識してきたであろう、その感覚と「戦わずして勝つ」がしっくりきたこと。また、本書との出会いもあり、コンテンツディレクターとしての「本流」と「我流」を表裏一体にすべく、これまで感覚的にやってきていた、主に企画を考える際の「我流」を改めて具体的に整理してみました。
【STEP1】
基本的な前段を作成し、それにそってコンテンツを考える。すると大概、無難な案に終始しいきづまるのですが、これを安パイとして“らしさ”“ならでは”“新たな振り幅”を導き出すための粘りの作業にはいります。
【STEP2】
粘る際には、頭の中をひっくりかえしておもちゃ箱にします。その際のポイントが4つ。
①対象の名前をなくす
たとえば、コップは飲み物を飲むものですが、その名前をなくして形だけを見れば、花瓶にもなり、ペン立てにもなり。つまり、新たなストーリーが生まれます。
②肯定力をアップする
対象の、ないなー、いけてないなー、というポイントを、面白がってあえて切り口にしてみる。つまり、その意外性やギャップが新たな魅力を生む。
③言葉遊びをする、主にタイトル
人がその言葉を口にするときに、なんだかちょっと楽しい気分になれるか、思わず人に伝えたくなっちゃうか、を身近な人で想像してみる。
④企画・構成・デザインを同時進行で妄想する
企画が面白くても、デザインとして実現できなければNG。逆に企画がいま一つでも、デザインによってグッと面白くなることもあるから。
【STEP3】
そうして、おもちゃ箱からでた企画を精査します。
基準は、【STEP1】でつくった前段に“らしさ”“ならでは”“新たな振り幅”を付加できるか。できれば採用。できなければ、単なる思いつきとしてボツ、に。
【STEP4】
企画全体を俯瞰で見て、そのコンセプトを一言で言うと何になるか、それ自体に華(現状の課題が解決しそうな希望や新しい何かがはじまりそうなキラキラ感があるかどうか)があるかどうかを検証します。
【STEP5】
まだ見ぬ制作物のクオリティを担保すべく、企画書はわかりやすくグラフィカルに、そしてしっかり編集する。イメージとしては大人向けの絵本づくり。
以上が、私が目下実践努力している「我流」です。これにこれから「本流」を表裏一体化させる作業にはいります。もちろん「我流」がまだみつかっていない人は、まずは「本流」を実践しながらでも。どちらが先でどちらが後でもよいと思います。大事なのはいずれかだけで終わらせない、ということです。
そして、そうこうしているうちにまた、この業界も、私たちのミッションも拡大し変貌していきます。つまり、コンテンツマーケティングは終わりのない長期戦。しなやかにその波をとらえつつ、クライアントしかり、制作スタッフしかり、これまで一緒に積み上げてきたものを無にしないよう、共にこの変化を楽しみ、モノにしていけるよう、いい関係を築いていくことも忘れずにいたいと思います。