コンテンツマーケティングの小さな成功が社内で評価された2つの理由
こんにちは。プロデュース部門の佐藤秀樹です。
コンテンツマーケティングを実践されている、もしくはこれから取り組もうとしている企業の担当の方が、その効果や価値を社内に示すのに苦労している、というお話をよく聞きます。
最初から理想通りの形で実施するだけの予算が取れないとか、実施後に施策の効果を社内に説明できないと次の予算確保につながらない、という状況です。
一口にコンテンツマーケティングといっても、企業の目的によって取るべき施策が異なりますが、確かに私自身、実施後に評価をするのが難しい例も多いと感じます。
例えば、
- 新規流入数の増大や、新規顧客の獲得が目的
↓
検索エンジンからの新規流入数や会員登録数など、数値で示しやすい
一方、
- 従来伝えてこなかった企業価値訴求、新しい顧客層へのイメージ訴求やレピュテーション向上
↓
数値や直接的なオーディエンスのアクションから効果を掴みにくい。また、中長期的に取り組まなければ効果を得にくい。
ということで、今回は弊社がお手伝いしているお客様の中で「小さな成功」によって、コンテンツマーケティングの価値を社内に示すことに成功している事例を2つ紹介します。
1.外部メディアとの連携で効果を見える化
コンテンツを用いて、従来とは違った新しいブランドストーリーを新しいターゲットに伝えるという企画。
オーディエンスに伝えるべきコンテンツやターゲットは明確なので、評価軸としては、「新しいターゲットに届いたか?」と、「そのストーリーはターゲットに共感されたか?」という点がポイントとなります。
そこで、ターゲットとして想定されるオーディエンスにリーチできる外部のメディアをうまく活用し、自社のオウンドメディアコンテンツと連携させるという戦略を採用しました。
当コラムにおいて、弊社長田の記事に書かれているように、外部メディアへの出稿は、短期的にわかりやすい効果を出しやすいという長所を持ちます。
https://www.infobahn.co.jp/ib_column/2955
■どう評価したか
この施策によって、外部メディア側では、1,200件以上のソーシャルメディアへのシェアや、200件以上のソーシャルブックマークを獲得し、それらが視覚化されることでオーディエンスとのエンゲージメントをわかりやすく評価できました。
当然、オウンドメディア側への一定数の流入も短期的に獲得することができたため、従来では訴求しきれなかったターゲット層に対して、新たな企業価値と文脈を訴求できたと評価しています。
オウンドメディアだけでは、絶対的なリーチ数やソーシャルメディアへの拡散を短期間で得ることはなかなか難しいのですが、このように外部メディアの力を借りることで、ある程度限られた期間でも、目に見えるソーシャルメディア上の反応やサイト流入を得ることができ、社内的に「新しいターゲットに届いたか?」と「そのストーリーはターゲットに共感されたか?」を示すことができました。
補足としては、この施策と並行してサイトを閲覧したオーディエンスへのアンケート調査も行っており、一定期間継続する中でのイメージ醸成に対しても効果測定を続けています。
■この事例のポイント
コンテンツマーケティングをオウンドメディアのなかだけで考えず、オウンドメディアと外部メディアを上手く活用することによって、オーディエンスとの中長期的なエンゲージメントの醸成と、ターゲット層への短期間でのコミュニケーションを両立させている点がポイントです。
また、オウンドメディアと外部メディアで同じストーリーを伝えるという点も重要と言えます。
2.リアル施策にコンテンツを流用することで反応をわかりやすくする
コンテンツによって、オーディエンスに対して今まで伝えきれなかった商品の使い方や使う意味を提示し、オーディエンスに共感される価値の訴求を実現させたいという企画。
これまでの広告的な企業主体の情報発信から、オーディエンス視点の情報発信へ切り替えることで、消費者との友好なコミュニケーションを図るという戦略でしたが、ECのような直接オンライン上で商品購入できる環境がなく、「果たしてその活動が消費行動に変化をもたらすのか?」という点が、なかなか評価しにくい状態でした。
そこで、実際の商品が販売されている店舗と連動して、サイト上で制作されたコンテンツをベースに、販売促進活動を行うという施策を試しました。
■どう評価したか
あくまでトライアルとして実施した施策でしたが、従来の施策と比べてお客様の反応が良く、売上増加に貢献する結果となりました。また、コンテンツで利用シーンを訴求したことで、ターゲット商品と合わせたセット購入も増えたそうです。
このように、リアルな現場へ繋げると、シンプルに売上を評価することもできますし、店舗というリアルな現場なので、店頭のお客様の反応なども拾いやすいと言えます。
■この事例のポイント
オンライン上のコンテンツマーケティングを、消費者に一番近い接点である、リアル店舗に流用することで、結果や反応の評価をわかりやすくしたところがポイントです。
この手法は商品販売以外にも応用が効くと思います。例えば、企業の採用活動において、セミナー開催時に採用候補者にコンテンツを見せ、その後のアンケートや面談でキャッチアップする、といったケースが考えられます。
まずは結果の出やすい方法でコンテンツマーケティングを
今回は、2つの事例をご紹介しましたが、参考になるポイントとしては、
・見える化しやすい策に展開することで社内評価しやすくする
ということだと思います。
私は、コンテンツマーケティングは、顧客となるターゲットを、コンテンツで魅了し、獲得し、エンゲージする施策だと思うので、実践する方法や場所は、必ずしもオウンドメディアだけであったり、オンラインでなくても良いと思います。
それから、これらの事例は、冒頭で書いたようにコンテンツマーケティングの数ある策の2つに過ぎず、必ずしも読者のみなさんの課題にずばりと当てはまるとは限りません。
しかし、戦略設計する際に、比較的結果の出やすい方法でスモールスタートしつつ価値を評価するフェーズを設ける、という点は参考になるのではないでしょうか。
みなさんも、ぜひ短期的に効果を見える化しつつ、中長期的にコンテンツマーケティングを根付かせる、という取り組みに挑戦してみてください。