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実録! ペルソナ活用術~オウンドメディア制作の最前線から~

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こんにちは。コンテンツディレクターの中村です。このコラムを読んでいる方なら、「ペルソナ」という用語は当然ご存知でしょう。

ですが、言葉の意味はわかっているけれど、具体的な作り方や、そのメリットなどは漠然としていてよくわからない……。そんな“モヤモヤ”を感じていらっしゃる方も実は多いのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングが注目を集め、ペルソナの大切さが重要視されればされるほど、ますます基本的なことを「今さら聞けなく」なってしまった。モヤモヤを解消できずに、ずっと抱えたまま……。

今回は、そんなあなたのためにペルソナの作り方や、現場に与えるメリットなどを、文字どおり私が現場で体験した“実録”を交えながら紹介していきます。

 

ペルソナ(Persona)
ビジネスターゲット層の典型的なユーザーモデル(想定顧客)をより具体化した、疑似人間。定量調査や定性調査で集めたさまざまなデータを元に、趣味やライフスタイル、こだわりや悩み事など、単なるデータの寄せ集めではないコミュニケーション可能なひとりの人間、ひとつの人格として作られる。
「最強のWEBコミュニケーションシナリオ」(濱川智/日経BP)より

 

ペルソナを作るべき表の理由と裏の理由

ペルソナを作る第一の目的は、

ターゲット層への理解を深め、インサイトを深堀りする

ためです。

これを行うことで、ユーザーのインサイト(ニーズやウォンツ)を把握し、彼・彼女らに伝わりやすく、行動や態度変容を促すことができるコンテンツを提供することによって、マーケティング目的の達成を目指していきます。

と、これは教科書的な表の理由。

もうひとつ、私が現場で体験したからこそ言える理由を共有しましょう。それは、

プロジェクトメンバー間で、一貫したユーザー像を共有することで、よりスムーズなプロジェクト進行が可能になる

ということです。

私たち制作者の立場から言えば、具体的な制作フェーズに入って、サイトや企画のトーン&マナーを設定する際にも、迷いやブレが生まれなかったり、クライアントと制作側のあいだでの確認のやり取りが最小限で済むなど、ペルソナ作りがしっかりできていると、プロジェクトの進行は想像よりもはるかにスムーズになります。

プロジェクトがスムーズに進行すれば、企画を練ったり、取材や編集に当てる時間が増えます。それがさらに好循環につながり、プロジェクトはよりスムーズに進行していく。ペルソナ作りは、プロジェクトが良いスタートを切るための、大切なステップとも言えます。

■現場の実録:合言葉は「○○ちゃん!」
このプロジェクトでは、制作フェーズから運用フェーズにいたるまで、編集会議での企画や原稿の良し悪しの判断基準はペルソナの「○○ちゃん」でした。

「○○ちゃん」が興味を抱くか、カワイイと思うか、使ってみたいと思うか……。ペルソナという具体的なモノサシがあるからこそ、プロジェクトメンバー内での認識の共有や判断が明確かつ迅速になりました。

 

ときには“いたこ”のように。〜実録! ペルソナの作り方〜

ペルソナ作りの基本的なフローは次のとおりです。

1.セグメンテーション
定量データ、定性データを分析し、ターゲットをセグメンテーション。コアターゲットを選定して、ペルソナ仮説を策定。

2.デプスインタビュー
ペルソナ仮説に基づいて、ライフスタイル、購買行動、情報収集行動などについてのインタビューを実施。

3.ペルソナ・プロフィール
調査やインタビューにおけるファクトを分類・統合して、ペルソナ・プロフィールを作成。

4.ペルソナ・ストーリー
ペルソナの生い立ちから現在にいたるまでのライフスタイルを具体化し、ストーリーを与えることでイメージを共有。

5.インサイト収集・分類
ペルソナからインサイトを抽出して、分類、グルーピングする(共同体験、KJ法など)。

6.キーインサイトまとめ
もっとも重要となるキーインサイトをまとめ、キーインサイトを満たすメッセージを開発する。

基本的には上記のような流れでペルソナを作っていきます。詳しい解説はさまざまな書籍が出ていますので、ここではさらりと流させていただき、再び現場の実録を紹介します。

■現場の実録:“いたこ”になる。
あるプロジェクトでスタッフのOさんは完全に“いたこ化”しました。そう、霊や神々などに成り代わってメッセージを代弁する、あの“いたこ”です。

平日の仕事中はもちろん、土日祝日のプライベートも昼夜問わず、ペルソナの「○○ちゃん」のことを考え、そしてとうとうOさんは「○○ちゃん」と化したのです。会議で企画の切り口に迷った時、ペルソナとのタッチポイントを絞り込めずにいた時、いたこ化したOさんのジャッジは冴えわたりました。

ペルソナ像を詳細に想い描き、自分のモノにすると、ふだんは発揮できないような“ターゲットに強力に突き刺さる”明確かつクオリティの高いクリエイティブコントロールが可能になるのです。客観的に見るのではなく、まるで“いたこ”のようにペルソナを自分ゴト化してみる。ペルソナを作って活用するときに、これはとても重要なポイントになってきます。

 

要注意! 陥りがちな「ペルソナの盲点」

ペルソナの重要性をお伝えしたうえで、ぜひとも伝えておきたいのが、一生懸命ペルソナを作ったからこそ陥りがちな失敗談についてです。

そもそも、ペルソナとは、オウンドメディアを介してコミュニケーションをとり、最もエンゲージメントを“深めうる”想定ターゲットを意味します。“深めうる”ということは、基本的には仮説だということです。

すなわち、最終的なターゲットは、実際にオウンドメディアに集い、ファン化し、エンゲージメントを深めてくれる実在の誰かなのです。

ペルソナを追い求めるあまり、そもそもの目的を見失って、目の前にいるユーザーが実際にはどんな人なのかが見えなくなってしまうことがあります。それが「ペルソナの盲点」です。

常に、会員属性などを知ることができる指標を設け、実際に目の前にいるリアルなユーザーがどんな人たちなのかを、日々把握しておくことが重要です。もしもリアルなユーザーが「○○ちゃん」でなかったら、その時はペルソナを「△△ちゃん」にチェンジする勇気を持つことが大切になります。

以上、現場の体験談をもとに「ペルソナ」について解説させていただきました。あなたが想いを伝えたい「ペルソナ」、イメージできましたか?

そして、ペルソナ作りの“いたこ”が必要なときには、ぜひ、インフォバーンにご用命ください。

 

中村圭

プロデューサー/プランナー。出版社での雑誌および書籍の編集業務を経て、2007年インフォバーン入社。雑誌「MYLOHAS」にてデスク業務を担当。その後、ソリューション事業部へ異動し、コスメ、ヘアケア、健康食品などを中心に、女性のライフスタイル提案を行う企業、およびブランドのブランディングサイトやコーポレートサイトの戦略・クリエイティブ開発、コンテンツマーケティング支援を担当。2017年に女性向けマーケティング&クリエイティブチームWomen’s Heart Lab.を発足。