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オウンドメディアの空気を決める、4つの「インタビュー文体」活用方法

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photo:Thinkstock / Getty Images

10年前、インタビュー取材時のちょっとした粗相(本人は意図的な戦略のつもりだったけど…)を、いまだに上司・成田にからかわれるコンテンツユニットの長田(おさだ)です。

オウンドメディアにかかわらず、どんなメディアでも基本となる企画のひとつ、インタビュー。プロたちが口にする発言は、そのまま良質なコンテンツになりますからね。

ただ、ひと口にインタビューといっても、記事化の際には、いろいろなまとめ方が考えられます。その選択でメディアの空気感が決まるので、少し慎重になったほうがいいでしょう。

今回の記事では、そうしたインタビュー文体の代表的な4例をご紹介。実例とともに、解説していきますので、空気感の違いを体験してみてください。

なお、実例には関連ブログの過去記事「『フラットデザインの現在/未来』インフォバーン クリエイティブフェロー 木継則幸インタビュー」から、以下の部分を流用しています。

 

ー 実例サンプル ー

どうして今フラットデザインが注目を集めているのでしょうか?

「ひとつはユースケースの変化ですね。スマホの普及によりリッチな表現よりもスピーディーな表示、加えてここ数年はマルチスクリーン対応も求められてきている。そんな流れの中で極力UIに画像を使わない傾向は前からあったのですが、それをポジティブに捉え積極的にミニマリズムを追求していく流れの中で、今のフラットデザインと言われるような表現の潮流が出てきたように思います。あとはよく言われるようにスキューモフィック(リアル志向のデザイン)への反動でしょうか」

これが、どのように変化していくのか、ご注目ください。

 


 

1.構成しやすい! 「ひとり語り」スタイル

聞き役の存在を消して、インタビュー対象者の言葉のみで表現する形式。インタビュー記事というよりは、エッセイ的な雰囲気が強まります。 【文字の比率/聞き役 0:対象者 10】

 

ー「ひとり語り」スタイル 文章例 ー

フラットデザインが人気の理由

なぜ、いまフラットデザインが注目されているのかというと、理由のひとつにユースケースの変化があげられます。

スマホが普及して、リッチな表現よりもスピーディーな表示、加えてここ数年はマルチスクリーン対応も求められてきました。それをポジティブに捉え、あえてミニマリズムを追求していく流れの中で、いまのフラットデザインという表現の潮流が出てきたように思います。

あとはよく言われるように、スキューモフィック(リアル志向のデザイン)への反動でしょうか。

 

【 ◯ 長所 】
 ・人柄がよく表現され、親近感を強く演出できる。
 ・比較的、編集する量が少なく、構成しやすい。

【 ✕ 短所 】
 ・話し言葉が中心になるため、長くなりがち。
 ・また、見た目に変化が少ないことが多い。

【 構成のヒント 】
 ・できるだけ、小見出しを多く用意する。
 ・きちんと情報を整理して、冗長にならないようにする。

 


 

2.わかりやすい! 「質疑応答」スタイル

「ひとり語りスタイル」の発展形。基本的に対象者の言葉がメインとなりますが、聞き役の質問をスパイスにして、情報整理を加えています。 【文字の比率/聞き役 1:対象者 9】

 

ー「質疑応答」スタイル 文章例 ー

ーー どうして、いまフラットデザインが注目を集めているのでしょうか?

ふたつ理由が考えられます。そのうち、ひとつはユースケースの変化ですね。ここ数年、スマホの普及によりリッチな表現よりもスピーディーな表示、加えてマルチスクリーン対応も求められてきているんです。それをポジティブに捉え、積極的にミニマリズムを追求した結果、現在のフラットデザインという表現の潮流が出てきたように思います。

ーー フラットデザインの流行、ふたつ目の理由はなんでしょう?

もうひとつは、よく言われるように、スキューモフィック(リアル志向のデザイン)への反動でしょうか。

 

【 ◯ 長所 】
 ・ひとり語り形式の長所に加え、見た目に変化をつけやすい。
 ・各段落のトピックも一目瞭然にしやすい。

【 ✕ 短所 】
 ・話し言葉が中心になるため、長くなりがち。
 ・また、質問だけが良くも悪くも目立ってしまう。

【 構成のヒント 】
 ・質問部分の言葉のセレクトを慎重にする。
 ・また、そこのルール(配分や長さ)も筆者のなかで設けると読みやすくなる。

 


 

3.読んで楽しい! 「対談」スタイル

人気のあるWebメディアでは、多く利用されるスタイル。上記2例とは異なり、インタビュワーの個性も重要な要素となります。 【文字の比率/聞き役 4:対象者 6】

 

ー「対談」スタイル 文章例 ー

編集部:いまや猫も杓子もフラットデザインですね…?

木継則幸(以下、木継):人気ですね。理由は、ふたつ考えられます。ひとつはユースケースの変化。スマホの普及によりリッチな表現よりもスピーディーな表示、加えてここ数年はマルチスクリーン対応も求められているんです。

編集部:以前は、PC向けサイトとフィーチャーフォン向けサイトは、完全に分断していましたからね。URLも違っていたし。

木継:ええ。でも、状況は変わりました。その変化をポジティブに捉え、積極的にミニマリズムを追求していく流れの中で、今のフラットデザインと言われるような表現の潮流が出てきたように思います。

編集部:なるほど。では、もうひとつの理由は?

木継:あとはよく言われるように、スキューモフィック(リアル志向のデザイン)への反動でしょうか。

 

【 ◯ 長所 】
 ・リズムが生まれ、読んでいて楽しい。
 ・インタビュワーの言葉に補足情報を詰め込むことができる。

【 ✕ 短所 】
 ・軽妙なやりとりになるため、下手をすれば「軽い」印象になる。
 ・また、相当な編集を加えないと、しらじらしいやり取りになりがち。

【 構成のヒント 】
 ・ドラマや映画のシナリオを書く気分で。
 ・軽妙さは、その企画の意図によって、しっかり見極めるべし。

 


 

4.重厚感たっぷり! 「報道」スタイル

雑誌や新聞などでは、よく見かけたスタイル。対象者の「コメント」は要の部分だけに利用し、執筆者(聞き役)の言葉の方が多くなります。 【文字の比率/聞き役 7:対象者 3】

 

ー「報道」スタイル 文章例 ー

スマホの普及が、フラットデザインを加速させる…

2010年以降、Webデザインの分野で流行している、フラットデザイン。

その背景には、スマートフォンの普及が関係していると、株式会社インフォバーンのクリエイティブ・フェロー 木継則幸は分析する。「小型デバイスでの閲覧には、リッチな表現よりもスピーディーな表示が求められる」のだ。

また、タブレットの登場により、制作側はマルチスクリーン対応も考慮に入れる必要が出てきた。そうした背景をポジティブに捉え、「あえてミニマリズムを追求していく中で、いまのフラットデザインと言われる表現の潮流が誕生した」という。

 

【 ◯ 長所 】
 ・ビジネスドキュメンタリーのような重厚な印象を与えられる。
 ・情報を多く詰め込みやすい。

【 ✕ 短所 】
 ・文章が苦手な人には、敬遠される可能性あり。
 ・慣れていないと「です・ます調」「だ・である調」を混在させがち。

【 構成のヒント 】
 ・改行や小見出しをしっかり設け、読みやすくする。
 ・何度も読み返す。第三者の目でも確認してもらうといい。

 


 

1990年代、某有名音楽雑誌の目玉企画で、ミュージシャンの「1万字インタビュー」というものがありました。その頃、あまり陽の目を浴びないマイナー誌を手がけていた私は、「長けりゃいいってもんじゃねぇぞ」とココロの中で毒づいていたものです(ヒガミですね)。

もちろん、その音楽雑誌では、ちゃんとした編集が加えられていたと思いますが、スマホ閲覧が中心となった現代において、1万字はさすがに長すぎでしょう。ニュースの記事を3行でまとめる「LINEニュース」が人気のように、インタビュー取材で採録した膨大な情報を端的に編集するのは、Webメディアに強く求められている要素です。

その際には、こちらの記事が少しでも参考になれば…。

あ、あと、10年前に私がどんな粗相をしたのか気になる方は、成田に声をかけてみてください。なぜかそのことだけは、嬉々として教えてくれるはずです。

 

長田真

株式会社宣伝会議社の月刊誌「編集会議」「ブレーン」の制作に携わった後、2004年より株式会社インフォバーンに入社。国内有数のブログメディア『ギズモード・ジャパン』『ライフハッカー[日本版]』のプロデューサー・編集長を歴任する。その後、ソリューション事業で大手企業のオウンドメディア立ち上げ・運営を担当し、2015年9月よりDIGIDAY[日本版]編集長に就任。