コンテンツ制作に悩んだら検証したい3つの原型
こんにちは。インフォバーンの成田です。
オウンドメディアを運営するにあたって、コンテンツ制作に苦労している方は多いかと思います。PVがなかなか増えない、面白いコンテンツが作れない、ネタがすぐ尽きてしまう……などなど悩みは尽きないかもしれません。そんなときは、コンテンツの3つの原型を振り返って検証することをオススメします。
1. 課題解決型コンテンツ
2. ブランド訴求型コンテンツ
3. バイラル喚起型コンテンツ
1. 課題解決型コンテンツ
課題解決型コンテンツは、オーディエンスが抱える課題や悩みなどのニーズ(要望)を満たすためのコンテンツです。
たとえば、花粉症に悩まされる人がいたとします。花粉症の人は少しでも症状を軽くしようと解決策になりそうな情報をいろいろ探すことでしょう。せめて家の中だけでも花粉から逃れたい思う人なら、「花粉症 家」「花粉症 家事」「花粉 掃除」「花粉 洗濯」などでキーワード検索をするかもしれません。このようなオーディエンスの悩みを解決するための道標を示してあげるのが、課題解決型コンテンツです。
たとえば「花粉症 家事」で検索すると、花王のオウンドメディア『マイカジスタイル』の「洗濯でできる花粉対策」という記事を見つけることができます。
たまたま『マイカジスタイル』というメディアでその記事に出会ったオーディエンスは、ほかにも「服につく花粉を予防できる!柔軟剤活用のススメ」「花粉の侵入は、換気によるものが約6割!」といった、花粉対策に関するコンテンツに触れることができます。「マイカジスタイル」では、このような花粉対策をはじめ、梅雨になればカビや洗濯、夏になればハエやゴキブリの害虫対策など、さまざまな家事ストレスを解決する方法を見つけることができます。きっかけは「花粉」でも、ほかの家事に関するお役立ち情報を知ることで、オーディエンスは花王という企業や花王の商品に興味・関心を抱く可能性が高くなります。
オウンドメディアの多くは、このように課題解決型コンテンツを継続して配信することで、検索エンジンのトラフィックを運び、ひいては潜在層や見込み顧客、優良顧客の育成につなげていくことを目的とします。
この課題解決型コンテンツを制作するときに重要なのは、自社の商品やサービスの情報を一方的に発信するのではなく、オーディエンス視点で必要とされる情報を発信していくために誰に何を伝えるべきか、を最優先して考えることです。
2. ブランド訴求型コンテンツ
ブランド訴求型コンテンツは、企業もしくはその企業が提供する商品やサービスのブランディング・認知獲得を目的としたコンテンツです。
たとえば、インフォバーンでお手伝いさせていただいたリコー『西暦2036年を想像してみた』は、
1)リコーのブランドメッセージ「imagine. change.」の認知拡大
2)リコーに対する「先進性」イメージのシーディング
を目的に立ちあげられたオウンドメディアで、リコー創業100周年となる西暦2036年の仕事環境をテーマに企画・制作したブランデッドコンテンツです。リコーの「先進性」を伝えるため、小説・マンガ・ゲームなどの分野で活躍するSFクリエイターとリコーの技術者によるコ・クリエーション企画を展開しています。
また、インフォバーンのグループ企業であるメディアジーンの『ギズモード・ジャパン』や『ライフハッカー[日本版]』のネイティブアドを活用し、コンテンツを拡散。リコーと親和性の高い情報感度の高いオーディエンスへアプローチすることで、新たなファンを獲得するとともに、ブランドへの認知をより広範囲へ拡張することに成功しています。
このようにブランド訴求型コンテンツは、企業や企業の商品・サービスを理解してもらうための詳細なストーリーを伝え、オーディエンスとブランドをつなぐことを目的としています。
3. バイラル喚起型コンテンツ
ブランドの認知獲得・情報拡散を目的としたコンテンツが、バイラル喚起型コンテンツです。ここで理解しておきたいのが、バイラル喚起型コンテンツは潜在層の開拓、認知獲得、情報拡散において効果を発揮する一方、必ずしも見込み顧客の育成やエンゲージメントの向上を約束するものではないということです。
もしあなたがオウンドメディアを運営することになり、月30本の記事の更新をすると決めた場合、すべての記事をバイラルさせたいと考えるかもしれません。しかしその前に、まずそれが本来の目標に合致したコンテンツであるかどうか、精査すべきでしょう。バイラル喚起型コンテンツは、多くの費用と時間をかけても、必ずしも毎回「アタる」とは限りません。「ハズす」リスクを負う覚悟も必要になります。
たとえオーディエンスにとって価値のある課題解決型コンテンツでも、それが薄毛、メタボ、便秘などのコンプレックス系のコンテンツであれば、バイラル化はあまり期待できないでしょう。逆にオーディエンスにとって価値のあるコンテンツであれば、バイラルしなくともエンゲージメントやコンバージョンの強化につながります。つまり、配信したコンテンツが高い確率でバイラルし、認知獲得に成功したとしても、エンゲージメントやコンバージョンの向上にまったくつながらないようでは意味がありません。
また、バイラル喚起型コンテンツは、短期的に認知獲得と情報拡散を狙えるカンフル剤的な役割を果たすので、広告の役割に近いとも言えます。しかし、広告の多くが期間限定のフローコンテンツなのに対し、オウンドメディアにア ーカイブされたバイラル喚起型コンテンツは、息の長い課題解決型コンテンツにもなり得ます。逆もまたしかり。課題解決型コンテンツがバイラル喚起型コンテンツとして拡散していくこともあります。
インフォバーンでは、セミナーで使った資料をランディングページやブログ(インフォバーン総研)、SlideShareに掲載するなど、再利用することも多いのですが、たとえばSlideShareにアップした「コンテンツ作りの三原則」は、元々企業のWeb担当者やライター、編集者に向けて作成した課題解決型コンテンツです。バイラル喚起が目的のコンテンツではありませんでしたが、掲載した当日にSlideShareとしては異例の1万ビューに達し、2年近く経った現在でも、失速することなくビュー数を積み上げています。バイラルすることで他のコンテンツのビュー数も底上げされ、結果的にデジタルマーケティング業界での認知拡大と顧客獲得につながるコンテンツとなっています。このように課題解決型コンテンツであっても、バイラル喚起型コンテンツとしての役割を果たす例は少なくありません。
コンテンツの類型化と目標とのすり合わせ
「課題解決型」「ブランド訴求型」「バイラル喚起型」の3つのタイプのコンテンツには、それぞれ得意とする役割があります。「課題解決型」はコンテンツの量産に向いており、オーディエンスとのコンタクトポイントを広く確保しやすいため、SEO対策としても大きな効果が期待できます。一方、「バイラル喚起型」は量産するのが難しいものの、ソーシャルメディアとの親和性が高いので、一度拡散すれば短期間で爆発的なアクセスを期待することもできます。「ブランド訴求型」は、「課題解決型」と「バイラル喚起型」の両者の特性を生かすことができるコンテンツと言えるでしょう。
先述のリコーの『西暦2036年を想像してみた』におけるネイティブアドの例のように、「課題解決型」や「ブランド訴求型」も効率的にディストリビューション施策を活用することで、「バイラル喚起型」のコンテンツとして狙いたいターゲットにピンポイントで届け、拡散を狙うことができます。
コンテンツを継続的に配信しているが、どうもうまく回せていないという方は、現状のコンテンツを3パターンに類型化してみることをオススメします。そして、改めて目標(KGI、KPI)と照らし合わせ、それぞれの特性がうまく機能しているかどうか、再確認してみてはいかがでしょうか。