資生堂ジャパン株式会社マーケティング部門に「顧客インサイト発掘&製品アイデア創出」に向けた研修プログラムを提供
資生堂ジャパン株式会社
Outline
インサイトを見つけ出し、事業アイデアにつなげる研修を実施
日本を代表する大手化粧品メーカーである資生堂ジャパン株式会社のマーケティング部門では、「アネッサ」「エリクシール」「マキアージュ」など、さまざまな年代に向けて多くの美容製品ブランドを開発・販売しています。
本プロジェクトは、そんな資生堂ジャパンのマーケティング部門からの「顧客インサイトを見つけ出し、アイデアに結びつける方法を知りたい」というご要望を受け、インフォバーンが研修プログラムとして提供したものです。
まずインサイト探索のアプローチ、特にKA法についてレクチャーしたうえで、「美容成分」「美容医療」に関するデプスインタビュー動画から、インサイトに関わる発言を抽出し分析するホームワークを実施。さらに、見つけ出したインサイトをもとに製品コンセプトやマーケティングのアイデア出しをする1dayのワークショップを行いました。
クライアント
資生堂ジャパン株式会社 マーケティング部門
制作期間
2024年5月~2024年6月
担当領域
研修プログラム設計
ワークショップ運用
Lecture
インサイト導出手法を理解するための事前レクチャー
本プロジェクトでは初めに、顕在ニーズを調査するのではなく、顧客本人すら自覚していない潜在的な「インサイト」を発掘するための手法をレクチャーいたしました。
定量調査だけではとらえにくいインサイト。見つけ出すアプロ―チには、さまざまな手法がありますが、製品やサービスを利用する隠れた動機や奥にある心理を多面的に解釈し、そこにある「価値」に注目することが重要です。そこから価値の関係性を言語化(意味づけ)していくことによって、革新的なアイデア創出にもつなげられます。
今回は、リサーチ・分析の手法としてKA法を解説。定性情報を分析する手法として広く知られるKA法は、集めたユーザーの生の声や行動観察などを解釈し、本質的”価値”に置き換えていくことで、仮説を構築していきます。
たとえば、「料理をする前には調理道具を洗っている」というユーザーの発言(ファクト)から、「洗い残しがあったら嫌だな」といった心の声を汲み取り、「清潔な道具で調理できる」という価値にまで抽象化して導き出せるかもしれません。
デプスインタビュー動画をもとにインサイト抽出の練習
レクチャーのあとは、インサイト抽出の練習となる課題を提示。参加者にホームワークをしていただきました。
具体的には、資生堂ジャパンが行ってきている消費者意識調査の中から、「美容成分」や「美容医療」に関するデプスインタビュー(個人の無意識レベルでの心理や考えを聞き出す質的調査)動画より1本を選んで視聴し、インタビュー中の発話から、30〜40個ほど注目すべきものを抽出。それをKA法にならって「心の声」⇒「価値」と変換していき、1枚のサマリーとしてまとめるというものです。
Workshop
ワークショップでチームによるアイデア発想
後日、参加者全員に集まっていただき、1dayでワークショップを行いました。
最初に、顧客にとっての「価値」の関係性を構造化し、「価値マップ」をつくる練習のワークを実施。抽象度の低い「小価値」を整理し、共通する要素を考えて「中価値」へとグルーピング、さらに上位の本質的な「大価値」へとまとめていきます。
このワークでは、チームごとに分かれて議論しながら、カードや付箋を利用してラベリングしていきました。
続くワークでは、価値グループごとの構造関係を考察。そのなかから、コアとなる価値の関係性に着目し、言語化して解説をつける作業を行いました。
最後に、コアとなるユーザーインサイトをもとに、従来のメンタルモデルから転換した新たなメンタルモデルを考案。合わせて、そのパーセプションチェンジを起こすためのコミュニケーション施策を発想していきました。
Outcome
実践的にインサイト導出からアイデア発想への手順を理解
マーケティング担当者を中心にご参加いただいた本プログラム。最終的にはチームごとに、「価値マップから得たインサイト」「新たなメンタルモデル」「コミュニケーション施策のアイデア」を発表いただきました。
実施後の参加者からのアンケートでも、「インサイト探索のプロセスを体系的に理解できた」「普段の業務で行っているリサーチとは異なるアプローチが新鮮で、新たな発見があった」「ワークショップを通じて多角的なアドバイスが得られ、ファシリテーションやフィードバックの勉強にもなった」といったご好評の声をいただきました。
Voice
インサイト探索や価値創造の手法を体系的に習得したうえで、実際のケースを用いていかに突き抜けたアイデアを創出できるかのワークショップは、短時間であるがゆえに、とても良い経験となりました。
資生堂ジャパン株式会社
マーケティングアカデミーグループ グループマネージャー
山田 忠 様
Member
プロジェクトマネージャー|木継則幸
ディレクター|山岸智子・平岡さつき
スペシャルアドバイザー|田中準也・井登友一・辻村和正